昨今、都道府県労働局等への職場のいじめ・嫌がらせ(いわゆるパワーハラスメント(パワハラ))に関する相談は増加傾向にあり、平成16年度は約1万4000件であったのが、平成26年度には約6万2000件となり、4倍以上に増加しています。パワハラは、結果として、従業員の精神面に影響を及ぼし、場合によってはパワハラを受けた従業員を退職に追い込むこともあり、企業の生産性に対しても悪影響を及ぼしかねませんので、その防止策を採ることが必要であると考えます。しかし、パワハラについては、業務上の指導との境目が不明確であることから、意図せずにパワハラが発生することもあると思われます。そこで、企業としては、パワハラとはどのような行為を指すのかを理解し、その上で防止策を採る必要がありますので、今回は、パワハラに該当する行為がどのような行為であるか、業務上の指導との違いはどこにあるかについて説明させていただきます。
パワハラに該当する典型的な行為としては、以下のように分類されています。

1.暴行・傷害(身体的な攻撃)
2.脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
3.隔離・仲間外し・無視(人間関係からの隔離)
4.業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
5.業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
6.私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

よって、このような行為に該当すると業務上の指導ではなくパワハラに該当するということになります。
しかし、このような行為類型だけでは、実際に業務上の指導を行う際にそれがパワハラに該当するのか判断しがたいと思います。そこで、その判断基準のヒントについて人事院の 「パワー・ハラスメント防止ハンドブック」に掲載されているものが参考になりますので抜粋いたします。

パワハラ 指導
目的 ・相手を馬鹿にする、排除する
・自分の目的の達成
・相手の成長を促す
業務上の必要性 ・業務上の必要性がない
(個人生活、人格を否定する)
・業務上の必要性があっても不適切な量や内容
・仕事上必要性がある、または健全な職場環境を維持するために必要なこと
態度 ・威圧的、攻撃的、否定的、批判的 ・肯定的、受容的、見守る、自然体
タイミング ・過去のことを繰り返す
・相手の状況や立場を考えず
・タイムリーにその場で
・受け入れ準備ができているときに
誰の利益か 組織や自分の利益優先
(自分の気持ちや都合が中心)
・組織にも相手にも利益が得られる
自分の感情 いらいら、怒り、嘲笑、冷徹、不安、嫌悪感 ・好意、穏やか、きりっとした
結果 ・部下が萎縮する
・職場がぎすぎすする
・退職者が多くなる
・部下が責任を持って発言、行動する
・職場に活気がある

このヒントによると、パワハラでない指導の範囲が相当限定されるようにも思われますが、人によって業務上の指導といえるものでもパワハラと感じる場合もあるでしょうから(法的な問題は別として)、意識付けとしては、この程度厳格でも良いと考えております。
次回は、パワハラの防止策について説明させていただきます。