川村和久弁護士が、平成28年7月31日、介護事業会社の依頼を受け、介護職員初任者研修カリキュラムのとして「人権啓発に関する基礎知識」と題する研修プログラムの講師を務めました。

研修前半では、法務省の「私たちの声が聴こえますか」という人権啓発ビデオを参加者全員で鑑賞し、介護現場における高齢者や障がい者の人権について、各人の職場での体験等もお話いただき、自由に意見交換を行いました。このビデオは、女優の渡辺美佐子さんによる「ひとり芝居」(施設職員編・入所者編)を中心に、専門家へのインタビュー等を通して、「どんな行為が入所者の人権を侵害する行為に当たるのか」を自然と考えさせられる構成となっており、大変興味深い内容となっているとともに、我々が普段の生活において、立場の互換性を前提にしつつ、常に相手の立場に立って物事を考えることの重要性を気付かされました。

研修後半では、人権の基本概念や、人権が近代立憲主義と共にヨーロッパで誕生した歴史、我が国においても明治維新の後に政府が制限的ではあったがヨーロッパの憲法を参考にしつつ人権尊重の方向に歩み出したこと、数千万人が生命を奪われた悲惨な第二次世界大戦後、我が国でも「基本的人権の尊重」が明確に掲げられた日本国憲法が制定されたこと、また、憲法に規定された「基本的人権」のカタログの具体的な内容について、講義を行いました。

そのうえで、再び我々の身近な人権の問題、例えば、前記の高齢者等の人権の問題以外にも、女性の人権、子どもの人権、ネットにおける人権侵害の例など講師の体験も交えたお話をし、最後に、人権保障の目的が「人間の尊厳」(その中心としては「公正」、「自己決定(自由)」、「生存」の価値が挙げられると思います)を護ることにあり、そのためには我々の社会において「法の支配」が実現されている必要があるのではないかという点を全員で確認し、研修を終えました。

今回の研修を準備する中で、講師自身にとっても、改めて気付きを得たり、学びの多い機会でありました。