前回より少し時間が経過してしまいましたが、前回はパワーハラスメント(パワハラ)とはどのような行為を指すのかについて説明いたしました(業務上の指導とパワーハラスメントとの違いについて)。それによって、パワハラとはどのような行為を指すのかについては、概ねご理解いただいたと思います。そこで、今回は、パワハラの防止策について説明させていただきます。パワハラの防止策は、企業規模、現在の職場環境、その企業の他の制度との関連性なども考慮に入れつつ策定していくことになりますので、一概に正解はなく、それぞれの職場に即した形で、できることから始めていくことになるかと思いますが、厚生労働省が発表している一般的なパターンがありますので、それに則り説明させていただきます。

まず、組織のトップが、従業員に対して、職場からパワハラをなくすべきであることを明確に示します。これにより、組織としての方針が明確になりパワハラを排除する職場の土壌が醸成されますし、パワハラを受けた従業員やその周囲の従業員も問題の指摘や解消に関して発言がしやすくなり、防止策の効果が期待できるようになるからです。

次に、パワハラ防止策に関するルールを決めます。就業規則などにより、パワハラ行為を行った者に対する処分を定め、厳正な対処を行うことを示します。
この段階で、パワハラ防止策の制度面は定まりました。しかし、ここで終わらせてしまっては、パワハラ防止策も絵に描いた餅となりかねません。そこで、次に、実態を把握し、現状に対する具体的な対策を検討する必要があります。そこで、実態調査のためのアンケートを行うことが有効です。アンケートは、多くの従業員から、具体的な回答を得るために、質問を詳細にするとか、回答は匿名とするといった工夫をすると良いでしょう。
このアンケート結果により、実態を把握することができれば、それに応じた研修を行います。実態を把握していることにより、より効果的な研修が可能となります。研修は、パワハラとは何か、業務上の指導との違い、パワハラを受けた者への影響等に関するものとなると思いますが、管理職と一般従業員とを分けて行い、その内容をかえても良いでしょう。

そして、これらの防止策が一過性のものとなると何ら意味をなさないことから、継続的に研修を行ったり、相談窓口を作りポスターを貼るなどして、継続してパワハラを防止する取り組みを行っていることを示す必要もあると考えます。これにより、パワハラ防止策がより効果を発することになるでしょう。

このように適切にパワハラ防止策をとることにより、パワハラは未然に防がれる可能性が高くなりますが、不幸にしてパワハラが発生することもあると思います。そこで、パワハラ相談対応への体制整備も行っていくと良いでしょう。
ざっと説明しましたが、具体的に実行するとなると、どのようにすれば良いか難しいと感じられると思いますので、詳細は弁護士に相談していただければと思います。