【事業承継の重要性】
我が国の中小企業は、平成26年時点で約381万者と企業数全体の99.7%を占め、従業者数は約3,361万人と雇用全体の7割を創出しており、「我が国の経済の基盤を形成している」(中小企業基本法1条)重要な存在です。

ところで、近時少子化の影響や働き方に対する価値観の多様化などの要因で、後継者問題に悩む中小企業経営者は多いと見られます。皆様の会社ではいかがでしょうか。

実際2017年版中小企業白書では、平成25年から平成27年までの期間で休廃業・解散した企業のうち、黒字状態で廃業した企業の割合が50.5%と半数超の企業が廃業前に黒字であり、さらには、生存企業の利益率の中央値(2.07%)を上回る休廃業・解散企業は32.6%であったとされています。この数字からみても、経営状況的には問題ないにも関わらず後継者が見つからないために休廃業に至る中小企業が多数あることが伺われます。

この点に関し、経済産業省・中小企業庁は、平成29年9月、かかる中小企業・小規模事業者の事業承継問題を放置すると、廃業の急増により2025年ごろまでの10年間累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)を失う可能性があるとの試算を公表しています。

このように、中小企業の事業承継は、日本経済にとって喫緊の課題といえます。

ところが、個々の経営者にとってみれば、事業承継への取り組みは、本来自社にとって非常に重要な問題であるにもかかわらず、日々の業務に追われていたり、何から始めればよいかわからない、誰に相談すればよいのかわからないといった理由で、ややもすると先送りにされがちです。さらには、後継者の問題はプライベートな家庭の事情と微妙に絡んでいたり、また、自社の経営状況が必ずしも思わしくない場合に、それを第三者にオープンにすることが憚れるなどの理由もあるかと思います。

しかしながら、円滑な事業承継を行うには、後継者の育成も含めて考えると、5~10年程度の準備期間が必要です。一般に経営者の平均引退年齢が70歳前後であるとされていることを踏まえると、60歳ごろには事業承継に向けた準備に着手する必要があるといえます。
この機会に、事業承継に向けて、しっかりと準備を始めていただきたいと思っております。

【事業承継の5つのステップ】
まずは、事業承継の準備について全体的なイメージをお持ちいただくことが必要です。

この点については、事業承継を円滑に行う上での必要な準備のプロセスとして、「事業承継ガイドライン」(中小企業庁平成28年)では次の5つのステップを挙げています。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf

はじめに、経営者自身が早期に事業承継に向けた準備の必要性を認識し(ステップ1)、自社の経営状況や経営課題等を把握する(ステップ2「見える化」)とともに、それを踏まえた経営改善を行う(ステップ3「磨き上げ」)。その上で、引き継ぐ相手が親族や従業員の場合には、事業承継計画を策定し(ステップ4)、経営や資産を引き継ぐ(ステップ5)。また、社外への引継ぎを行う場合には、引継ぎ先を選定するためのマッチングを実施し(ステップ4′)、合意に至ればM&Aを実施する(ステップ5′)。こうした5つのステップを踏むことが円滑な事業承継を行う上で重要であると指摘されています。

【事業承継の必要性の認識】
いずれにしましても、まずは、事業承継へ向けた準備の「必要性」を自ら認識することから始まります。

ここで、中小企業庁が経営者の方向けにまとめた「経営者のための事業承継マニュアル」という冊子(下記URL)があります(内容は、上記事業承継ガイドラインを、図表なども豊富にして分かりやすくまとめられたものとなっています。プリントアウトしてざっと目を通されることをお勧めします)。http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.pdf

このマニュアルの末尾に「付録」として「事業承継自己診断チェックシート」が記載されています。そこで、まずは、このチェックシートを用いて、自社の事業承継の必要性について皆様ご自身でチェックされてみてはいかがでしょうか。

【事業承継の相談先-弁護士に相談した方が良い場合】
では、事業承継の準備の必要性を認識された場合、誰に相談をすればよいのでしょうか。

これについては、事業承継の問題については、顧問税理士、商工会議所、商工会や「よろず支援拠点」など身近な支援機関で相談が可能です。ただ、事業承継については、経営、財務、税務、法務、知財など様々な問題が複雑に絡み合うことも予想され、各士業や関係支援機関においてはそれぞれ得意とする分野があります。

例えば、中小企業の事業承継にあたっては、株式の名義の問題、会社運営上の問題、相続・遺言に絡む問題、会社資産と個人資産との整理の問題、代表者保証の問題、知財のライセンス契約の問題、M&Aにおける契約書のチェックや法務デューディリジェンス等々、弁護士の法的支援を必要とする場面も多々あります。もし、貴社の事業承継についてこのような法的な問題の発生が予想される場合には、最初から事業承継にまつわる法律問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

【当事務所は中小企業の事業承継を支援します】
当事務所でも、上記のような法律問題への対応を始めとして、中小企業の事業承継を積極的に支援します。

当事務所の弁護士は中小企業の顧問先を多数有し、また、中小企業経営者の団体にも長年所属し中小企業経営者との交流も深めてきており、中小企業経営に対する積極的な関心と十分な理解を有しています。
もとより、税務の問題については税理士と連携するなど、必要に応じ、他の士業専門家等とも連携して対応いたします。
経営者のよき「パートナー」として、一緒に悩みながら、一つひとつ経営課題を解決し、貴社の永続的発展に尽力できればと願っております。
(当事務所にご関心ある方は、あわせてこちらのトピックスもお読みいただければ幸いです。
http://kks-law.com/archives/1447 「弁護士は経営者と経営課題を議論できるパートナーたるべし」

まずは、気軽にお問い合わせ、ご相談いただけましたら幸いです。