最近は一昔前に比べ、ネットで商品を購入することが非常に普及しており、アマゾンや楽天市場で何でも購入できるような時代になりました。企業サイドでも、自社のHPやこれらのネット市場における自社商品の販売に力を入れておられるところは多いのではないでしょうか。

商品の形状やデザインを工夫し、苦労してヒット商品となり、ネット市場でランキングに入るようになって喜んでいたら、ある日突然、ネット上で別の会社が当社商品と全く同じようなデザインで、しかも値段を下げて売っていた、、、というトラブルの相談を最近よく受けるようになりました。商品ページの作り方も、商品写真の構図や撮影方向、一緒に写っている被写体や商品の説明文章まで、そっくり真似をされていたというケースもあります。

こういう場合、例えば、商品のデザインについて意匠権を取得していれば、意匠権に基づいて他社類似商品の販売差止めや損害賠償請求が可能です。

しかしながら、ライフサイクルの短い商品に、わざわざ時間と費用をかけて個別に意匠権をとっておられる企業はあまりないかと思います。

そこで、このような時に使える法律が「不正競争防止法」です。

不正競争防止法は、他人の商品形態を「デッドコピー」した商品の販売を禁止しています。不正競争防止法は、先行開発者に対し、投下した資本の回収の機会を与え、個性的な商品開発や市場開拓へのインセンティブを高めるために、このような他人の開発成果にフリーライド(ただ乗り)する行為を禁止しているのです。

保護されるのは「商品の形態」です。模様、色彩、光沢、質感などを含めた商品の形状をいいます。創作性の有無は基本的に問われません。

「セット商品」のようなものも含まれます。過去に、小熊の人形や、タオルハンガー、小熊の絵が描かれたタオル類、籐かごなど複数の生活商品から構成されている商品を1つの商品形態と認めた裁判例があります(大阪地判平10・9・10小熊タオルセット事件)。

なお、同種の商品が通常有しているような「ありふれた形態」は保護されませんが、部分部分で見た場合の形状は同種商品でありふれていても、全体としてオリジナルといえれば、保護されます。

もう一つの要件は「模倣」です。「模倣」とは、①他人の商品の形態に「依拠」して、②これと「実質的に同一」の形態の商品を作り出すことをいう、とされています。

「依拠」というのは、簡単に言えば、他社が貴社の商品の形態を知って真似をしたことをいいます。貴社の商品がネット市場でランキングを取得していて、同じ市場で、デッドコピー品が後発的に販売されたような場合、裁判でも「依拠」は認められやすいでしょう。

「実質的同一」というのは、全く同一ということまでは必要ではなく、全体として同一あるいは酷似していれば良いのです。実際、このようなケースで、商品形態が全く同一であるといったことは稀で、普通は、いくつか細かなデザイン(例えば、家具類なら把手の形状など)を変えているような場合がほとんどです。このような場合でも、その相違部分が全体からみて些細な違いに過ぎないと言えれば、「実質的同一」といえます。

こちらも、ネット市場での他社の商品ページには、商品の規格・寸法や各方向から撮影した写真などが-もちろん本来的には購入者向けの商品案内のためですが-掲載されていることが一般ですので、「実質的同一」の立証も比較的容易といえます。

問題は、保護を受けるためには期間制限があることです。販売開始から「3年」を経過すると、販売差止めも損害賠償も請求できなくなることに留意が必要です。ただ、例えば販売開始から2年程度経過して、保護期間が残り少なくなっているという場合でも、裁判所に差止めの「仮処分」を申し立てるという方法があります。「仮処分」であれば「本訴訟」より早く審理してもらうことができます。

自社の利益を守るために諦める必要はないといえます。

なお、個別の事案では判断が難しい場合もあります。類似の事案でお困りの場合には直接ご相談いただければと思います。