前回、「残業代請求における残業代の認定方法ついて」と題し、実態にあった労働時間管理の必要性について説明させていただきました。そこで、今回は、労働時間の管理方法について説明させていただきます。

前回も説明しましたとおり、労働時間の管理は、会社の責任で行う必要があります。そして、労働時間の管理のためには、まずは、労働時間を適切に把握する必要があります。原則的な方法としては、社長や管理職が現認し記録する方法、タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認する方法があります。社長や管理職の従業員が毎日確認をするのは現実的ではないので、タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認する方法が一般的かつ適切な方法です。

しかし、直行直帰が多い勤務形態では、このような方法が難しい場合もあるでしょう。そのような場合には、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う方法があります。ただし、自己申告制については、その申告内容の真偽の確認が難しいため、始業時、終業時にメールにて、行き先、業務内容などの報告をさせるなどの方法を採ることにより、できるだけ適正な自己申告がなされるようにする必要があるでしょう。

では、このような方法で労働時間の把握を行ったらそれで十分といえるでしょうか。タイムカード、ICカード等の客観的な記録からは残業が行われているが、実際には会社にだらだらと残っているだけということもありえます。そこで、残業を適切な時間に抑えるという意味での労働時間管理を行う必要があります。具体的には、残業や休日出勤を会社の許可制にするという方法があります。この場合、就業規則にて、残業や休日出勤を行う場合には会社の許可が必要である旨規定する必要があります。このような規定が無い場合には、会社の許可が無い残業であっても黙示の残業として、会社が許可したものと同様に扱われる可能性があるからです。その上で、残業や休日出勤をする際には、社長若しくは管理職の残業指示書がなければならないといすることにより、客観的に残業命令の有無を記録することができます。

このような方法を採ることにより、労働時間管理を適切に行うことができるでしょう。

なお、労働時間管理を適切に行うことにより、個々の従業員の業務量に対する労働時間の把握が可能となりますので、それに応じて、業務の配分を変更したり、誰にどのような従業員教育を行うかを検討したりできますので、労働時間管理は、会社の業績向上にもつながるのではないでしょうか。