2023/10/05 トピックス
紛争解決事案におけるリーガルサービスについて(弁護士川村和久)
当事務所のご提供するリーガルサービスの目的には大きく分けて「紛争予防」と「紛争解決」の2つがあります。
前者は、紛争予防のための、例えば契約書の作成・チェックや商取引の助言などです。後者は、まさに紛争発生時の相手方との示談交渉や訴訟対応等をいいます。これらのリーガルサービスにおける当事務所の「業務方針」は、当HPの事務所案内 – 川村・藤岡綜合法律事務所 – 大阪の弁護士に法律相談 (kks-law.com)にご紹介させていただいているところですが、これに加え、特に「紛争解決」事案における私(川村)自身の姿勢あるいは考え方を今少しここで詳しくご説明しておきたいと思います。紛争案件のご依頼を検討されることなどがありましたら、ご参考にしていただければ幸いです。
私が「紛争解決」事案において特に大切にしている考え方(姿勢)は次の3つです。
1 まずはクライアントとの信頼関係の構築に注力します。
共に紛争解決を目指すべき関係にあるクライアントと弁護士との間において、そもそも信頼関係がなければ、良い解決が生まれることは期待すべくもありません。また、弁護士は、法律の専門家(プロフェッション)として、クライアントにとって時には厳しいことを指摘せざるを得ない場面もあります。依頼を断られるかもしれないと思いつつ、言うべきことは言うという姿勢がなければ本当にクライアントのためにならないという場面も往々にしてあるからです。弁護士とクライアントとの間に真の信頼関係がなければ、このような率直で真摯な提言の真意も正しく受け止めてもらえないことでしょう。
そこでまずは、案件の受任にあたり、クライアントとの間における信頼関係の構築に意を注ぎたいと考えています。その一つとして、このようなホームページ上での情報開示(情報発信)も重要であると考えています。
2 常に複数の選択肢をお示しし、何が「最適(最善)」かをクライアントとともに悩み、考えます。
ご承知のように、法律的な問題解決には、学校で教わる数学のように「唯一絶対の解」が存在するわけではありません。法の世界では、どのような問題でも、常に複数の選択肢が存在するのがむしろ通常といえます。 また、人によっても価値判断は異なります。要は、クライアントその人(会社)にとって何が「最適」かを、最初から弁護士が「知っている」ことはありませんし、またそれを一方的に「教える」こともできません。最後は、クライアント自身により自ら「最適」な解決を「選択」していただくしかありません。それがおそらく「最善」の解決なのだろうと思います。弁護士は法律の専門家としてそのための助力をするのが仕事です。
考え得る複数の選択肢の得失を明確にお示しし、どの選択肢がクライアントにとって「最善」なのかを、クライアントと問題意識を共有しながら、ともに悩み、考える、そのような「プロセス」をこそ重視したいと考えています。
3 既存の法律の「限界」を知り、社会常識に適った「本質的価値」を追求します。
法律は、その制定当時に存在した課題を解決するため、当時の社会背景や価値観を前提として作られています。しかし、社会は変化し、人々の価値観も時と共に変容します。また、社会的に、法律制定当時に想定していなかった新たな課題が生じてくることも当然あります。また、法律とて、そもそも人間の作ったものである以上、万全のものとは言えません。
弁護士という職業の存在意義は、単に既存の法律を「知識」として切り売りすることにあるのではなく、時には法律の限界を知り、既存の法律の枠組みを超えて、社会常識に適った本質的な価値(正義)を追求するために行動する(実践する)ことが求められていると考えています。
我々は日常業務において往々にしてこのような既存の法律や判例(前例)の限界にぶつかります。ここで諦めてしまうのか、それを乗り越えるためぎりぎりの努力を行うのか。
私のこれまで20年余の弁護士業務の経験の中でも感じてきたことですが、裁判所は時に個別の事案で、新たな「法」や「正義」を創造して、期待に応えてくれることがあります。
クライアントの求めるものが社会常識に照らして「理」があると判断するならば、既存の法律の枠組みを超えた新たな「法」の創造、社会常識に適った本質的価値(正義)の実現を目指し、弁護士としてチャレンジし、尽力したいと考えています。
もとより、すべての場面でこのような「理想」が「現実」になっているわけではないことも正直に付け加えておく必要があるかと思います。
このような理想と現実のギャップに悩み、苦しみながらも、このような「理念」あるいは「初心」を忘れることなく、今後も日々の業務にあたってまいりたいと思っています。
(初出 2015年3月29日)